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Reiko
Takayama

2025年10月29日(水曜日)

  • マツコウビン
  • 2 時間前
  • 読了時間: 2分

 日々の生活が演劇になるワークショップ、ということで、参加者さんたちが最近経験した話を拾って、それをもとにシーンを作って演じていくのを見た。見学者はできあがった劇の発表だけじゃなく、稽古の部分、さらにその前の聞き取りの部分から立ち会うことができる。個人的な経験が他の誰かに手渡され、再現可能な、共有可能な形へと加工される過程を追いながら、劇ではないものと劇であるものの分かれ目はどのへんにあるのか、みたいなことを考えた。

 

 発表では、ばらばらに持ち寄られたエピソードが舞台上に続けて置かれていくことで意味深な繋がりが生まれているように見えたのが特に面白かった。

 演者(参加者)の人数は限りがあるので、それぞれ入れ替わりながらいろんな登場人物を掛け持ちしていく。違う役を演じているとわかってはいても、どうしても前のシーンの設定がオーバーラップしてしまう。関係ないはずの人物の行動が頭の中で奇妙に作用しあって、小さな身振りひとつにもなにか背景があるように感じられてくる。

 本来そこにないはずの奥行きが生まれてくるのが演劇の良いところだと思っていて、そうした不思議な効果が起きる新しいパターンをまたひとつ知ることができた。


 奥行きといえば、会場の中野水性は元クリーニング店ということで、そのころの機材や跡が残されていて、そうした場所のなごりみたいなものも、演者や観る側の意識に重層的に影響を与えていると思った。ときおり町の人が中の様子を怪訝そうに伺いながら通り過ぎていくのも面白くて、目の前のパフォーマンスが、舞台作品というよりは、町と地続きな場所で起きている出来事、という感じがした。


 帰り道、電車に乗ったらたぶん飲み会帰りの学生の男女ふたりが大声で会話をしていて、周りの乗客と一緒にそのすごくつまらない話に耳を傾けている状況がなんだか可笑しくて、ワークショップで再現されたシーンがまだ続いてるんじゃないかという気がした。


マツコウビン

 
 
 

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