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Reiko
Takayama

2月の立ち会い。「ちちんぷいぷい」

  • Hideto Maezawa
  • 6月7日
  • 読了時間: 2分

更新日:6月13日

「痛いの痛いの飛んでけ」

と掛けられた魔法はかつて効果的だった。痛みの住処からどこか遠くへ、一声で吹き飛ばしてくれる声だった。もう魔法の声に掛かることはないし、もうどこからかそんな声を掛けられることはない。そもそも飛んでくれなさそうな痛みばかりだと落胆する。


高山さんも書いているけれど、この日は最後に自宅で一人、胸の発作に掛かった日の苦しみと恐怖の経験を話してくれた方がいた。そのエピソードを高山さんのアイディアでみんなで演じた。みんなで少し大袈裟に演じ、不条理なコントみたいにも見えたし、ダンスみたいにも見えた。


大人になると、もう魔法の効き目はなく、魔法で吹き飛ばせない痛みや苦しみばかりかも知れない。けれど、このワークショップでは、心の中で辛いと思っていることや痛いと感じた経験を外に出してもらって、少し分け合ったりすることが出来るんだな、と思った。

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魔法ではないけれど、そんなふうな個人の苦い経験が、みんなの体を通して新しい形になって外に広がっていく。彼の本当の苦しみ、身に起こったことや、どう感じたかを正確に知ることは出来ないし、まして表現することはとても難しい。辛い経験を口にする言葉にすることもとても難しいことだ。

けれど、少し楽になることもある知れないと思った。もちろん上手くいかないこともあるだろう。


今回も私は参加したのだけれど、相変わらず「水没」が続いていたので(1月の立ち会いをご参照してください…)、水性のリノベ関係のちょっとしたことを話して、「上手く立てかけられないプラスティックボード」をマチコさんが最高にキュートに演じてくれて、「立てかけようと苦心する島忠の客」として共演したりした。


高山さんの海外での経験のエピソードでは、マチコさんとの楽しい初共演があった。

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この日は映像作家の方が映像記録を録ってくれていたが、カメラをぶら下げて頑張って役柄を演じる自分の姿が映っていて可笑しかった。

誰かの苦しい経験も傷となっていることも、日常の些細なことも、等しく生き生きと、またはモジモジしながらも演じている演劇部だった。


眺めていて考えることも多いけれど参加するとやっぱり楽しく、様々な人と触れ合って体はずいぶん楽になった。

演劇には小さな魔法がある。


前澤秀登


 
 
 

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