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Reiko
Takayama

3月の立ち会い。「それぞれの日常」

  • Hideto Maezawa
  • 6月7日
  • 読了時間: 3分

更新日:6月13日

この日はたくさんの人が来て、とても豊かに日々が集った。


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そもそも、このワークショップについて聞かれるとよく使ってしまう言葉「日常」とは何だろうか。と考える。「繰り返される日常」というが、繰り返されない日常というのはないので、頭痛が痛いの類かも知れない。

日常とは誰かにとっての「繰り返される日々」だ。

言葉の定義を言いたいのではなくって、「日常」は誰かにとって繰り返される日々でありその人にとって単調であるけれど、それは平凡を意味せず、個別のものであるということ、そしてみんなの人生の中でも変わりゆくものでもあって、それらがどれほど多様で豊かなものだろうか、と、水性演劇部の活動を見ていてと思う。


誰かにとって当たり前の日常は誰かにとっての非日常だらけだ。

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お肉屋さんパン屋さん八百屋さんクリーニング屋さん薬屋さんが並んでいればもちろん異なる日々だ。私はその中で育った。


全て輝き幸福に満ちた日々もある。汗も涙も枯れ果ててしまったような日々を送っている人もたくさんいる。突如訪れた震災後の日常、塀の中の日常、薬の中の日常、人生の終わりの時を待つ日々もある。海を渡れば戦火の中の日々もあるし、海を渡らなくてもいつかそんな日々が来るかもしれない。その時々、その日々を私たちは受け入れ懸命に生きなくてはならない。また、近くにいる異なるそれぞれの日々を尊重しなくてはならない。

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話が大きくなった…。みかんの差し入れ↑。

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私はといえば、「水性」を運営して一年と半年が経った。


2020年新型コロナによって到来した「新しい日常」とやらが国によって提言されて数年、あの日々を皆どう思い出すだろう。個人的には辛いこともあった。そういう人も多いと思う。けれど、意外と私たちは強く忘れがちで「何かモヤッとした季節あったね」としか言いようのない轍を残し立ち去っていったと思う。


その後、2023年秋、私にはまた、今度は半分は運命として、半分は自分の意思として、「新しい日常」がやってくることになった。語る人踊る人歌う人美味しいものや素敵なお洋服、大きな機材や小物のあれこれ、輝く若者たち、怪しく素敵な人生の先輩たち。日々やってきては立ち去っていく人々とものもの。たくさんの「非日常」を持ってやって来る方々を迎え、送り出していく私の新しい毎日。せわしなくも、新鮮な高揚に駆られて乗り切っていくこの日々は、次第に習慣化され「日常」として落ち着いていくのだろう(か)。


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この日も多くの日常が語られ織られていった。みんなの「日常」を少しずつ交換をした。みんなが少しだけ体の内側から掬い上げてくれたお話を、その場の身体たちが演じた。

登場人物を交換する。みんなでやってみる。自分を自分でやってみる。それぞれが、少し重たいものも、些細なものも、対等に日々を演じたあった。もちろん、多様なそれぞれの日常の交換には限界もあるだろう。そのことは皆知っている。


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友人に送った、とある文章の一節を思い出す。


「わたしはあなたの内側に入ってみたかった。わたしはあなたにわたしの内側を語りたかった。けれど、わたしはわたし、本当は誰ともわたしを交換できないことを知っていた」


人と人の間にはたくさんの壁がある。壊すこともできないし壊したくもない。それぞれの日々はそれぞれのものだ。


だから「演じてみる」があって良かった。


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とても賑わった演劇部が終わると、私は階段を上がり部屋に戻り、いつも通り再びパソコンを開く…この椅子に座っての作業は退屈で古い仲だ。それは「馴染みの日常」なのだが、今日も未だ慣れない水性宛のメールをたくさん返す「新しい日常」もまた何とか乗りこなしていく。ああ、頭痛が痛い。


前澤秀登



 
 
 

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